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子ども・ＫＩＤＳ：消えた風の子／２　親子でおけいこ　「いってきまーす」。平日の午後２時半。横浜市の幼稚園を出たミカちゃん＝仮名＝（６）は、門の前で待つ母親（３８）からノートや鉛筆が入ったカバン二つを受け取り、歩いて１分の塾へ向かった。３０分で計算プリント５枚をこなし、３時からは近くの英語教室でレッスンを受ける。「今の子は忙しい。習い事のほか、遊び時間もスケジュール管理され、何曜日のこの時間しかレッスンが受けられない、という子もいる」と英語教室の日本人教師は話す。　　ミカちゃんの場合、他に空手とピアノも習っている。予定が入っていない日は週３日。同じマンションの友達と公園などで遊ぶ。母親は「伸びるタイミングは逃したくない。無理のない範囲でやらせています」と話す。　　町中から消えつつある、遊ぶ子どもの姿。背景には、習い事や塾に忙しく遊ぶ時間を十分にとれない事情もあるようだ。　　ベネッセ教育研究開発センターが、就学前の乳幼児がいる首都圏の保護者を対象に行っている調査によると、習い事や通信教育をしている子どもは、００年は４９・４％（１６０１人回答）。０５年には５７・５％（２２９７人回答）と８・１ポイント増えた。　　低年齢化も進む。同調査では１〜６歳の全年齢で習い事をする子の割合が増える中、２歳児が最も上昇幅が大きく、００年は２６・８％だったのが０５年は３７・３％。３歳児も８・９ポイント上がり、０５年は過半数に達した。　　習い事として、人気が高いのは水泳や英会話。最近は、親も一緒に参加できる新しいタイプの教室が人気を集めている。　　ゼンケンオール（東京都）が全国約９００教室を展開する「こども英会話のミネルヴァ」は９６年、０〜２歳の子と母が一緒に学ぶ「マミーキッズ」クラスを開設。看板クラスの一つになっている。西宮教室（兵庫県西宮市）担当の芝野美智子講師は「母親が習った内容を覚えて帰り、親子で毎日繰り返すことが大切です」と説明する。学校時代に英語でてこずった母親が子どもには苦労をさせたくないと入ってくるケースが多いといい、西宮教室に登大（とうた）君（２）と通う古川こず恵さん（２９）は「学生のころ海外旅行が好きで、英語によるコミュニケーション能力の大切さを思い知ったから」と入会の動機を語った。　　「親子でおけいこ」人気について、白梅学園大の無藤隆教授（発達心理学）は「親は他の親と子育ての悩みを共有したいが、自分のためだけに費用を掛けるのには抵抗がある。『子どものため』という名目があると安心できるのでは」と分析。「１〜２歳児の習い事はこれからも増えるだろう」とみる。【反橋希美、丹野恒一】＝つづく　毎日新聞　2008年3月1日　大阪夕刊